パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

さくら餅 京都、鶴屋寿の「嵐山さくら餅」

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京都、鶴屋寿の「嵐山さくら餅」

 

 

新宿高島屋の週替わりでいま販売されている。

 

もちもちした道明寺に包まれたあっさり目の餡は、
大きなさくらの葉に挟まれ、その塩気がさらに甘さを引き立てている。

 

この葉は、伊豆の大島桜の葉を塩漬けにしたものだ。

桜の葉は、生のままちぎって嗅いでも、あの特有の「クマリン」の香りはしない。
葉の中にある前駆体が、塩漬けにすることによってさくら餅の香りができてくるのだ。
 

秋、落ち葉のころ、桜の木の下に枯れ葉が積っていて、
カサコソと踏んで歩くと、ほのかにこのクマリンのにおいがすることがある。
葉は落ちた後にも、中で香りを作っているのだ。

 

さくら餅や柏餅は、季節を感じさせるお菓子。
小さい頃の、ほのぼのとした思い出で心が弾む。

その頃は、長命寺の、ピンクの薄皮にくるんださくら餅を盛んに食べた。
葉っぱが3枚もついていた。
あとで洗って、本の間に挟んで押し葉にしたものだ。

 

もち米で包まれた道明寺のさくら餅は、もっと大きくなってからおやつに出てきたような気がする。

 

モソモソと、葉っぱごとさくら餅を食べながら思う。
子供の頃の怖いものと言えば、母親にしかられるとか、先生に怒られることぐらいしかなかったなあ。

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人数分買ったら、中があまりに小さくて上品なので、1人2個くらいづつにしたらよかった・・・と思った。

 

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