パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

遠州流御家元 初釜

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茶道、遠州流のご宗家(お家元)は、飯田橋からほど近くに居を構えられ、都会とは思えないような閑静なたたずまいだ。

 

 

私は子供のころから茶道裏千家を学んだのだが、たまたま母の縁があり、遠州流お家元の初釜には毎年伺わせていただいている。幸甚なことである。

 

寄付きでお菓子をいただく。暖かい紅白の小さなおまんじゅうと結びかんぴょう。
桜茶がいつもは出されるのだが、今日は林檎の花のお茶で珍しい。

お濃茶席の花は竹の花入れに「あけぼの椿、白梅、つくばね」。毎年、家元自ら竹をとりに行かれるそうで、今年は崖の急斜面に半分枯れた竹を見つけ、「命がけで採りました」と笑って話された。正面は青竹、後半分は枯竹の「片身代わり」という珍しい花入れで、枯れた部分が虎皮の縞模様にも見える。

薄茶席は「紅梅と水仙」。濃い茶席と合わせて紅白の梅。ご先代の宗匠が米寿ということで、花や掛けもの、お道具、しつらえなど、すべてのお席を通しておめでたい意匠が凝らされている。ことに、虎年ということもあり竹の絵柄がしばしば見られる。

毎年どのお道具も素晴らしく、丁寧に説明をしていただくのだが、お会記はないので浅学な自分には覚えきれず説明しきれない。ただ、眼福のみ。

茶道にしても香道にしても、何も知らずに美しい、楽しいと、「気」を感じるだけでも素晴らしいし、歴史を知っていたり、知識があればもっと楽しめる。


日本のこの凝縮された教養といおうか遊びといおうか(一言では適切な言葉がない)に触れるとき、日本人としての誇りを感じるものである。

 

 

恒例のくじびきでいただいた匂い袋。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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