パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

お初釜 その1 New Year's Tea Celebration

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年が明けたと思ったらもうすぐ節分。日々の速さに驚いてしまう。15日は遠州流、16日は裏千家と、 先週はお家元の初釜が続き慌ただしく過ぎてしまった。

毎年、お祝い膳を頂いた後、干支の入った板と口取りの器を持ち帰る。
十二支も3順目、板も器も一つづつ増えていく。前の七宝紋を模した形から片口のシリーズになって、このたびは渋いお色である。

 

87になる母は足が辛いのでこの15年あまり遠慮しているが、若いころはかなりの茶道楽であった。各流派の初釜から始まって光琳茶会など大きな茶会に通年忙しく、そういったところでいただいた扇子やらが何十本も溜まったそうである。

初釜から私が戻ると母は、お家元はどうであったとか、お母様はご健勝かなど、ご家族のご様子を楽しげに聞くのが毎年の習いである。そして40年近く前になるのか、顕彰会、大徳寺の孤篷庵で若き日のお家元と一緒に喜左衛門井戸茶碗を拝見したくだりを、やはり毎年必ず拝聴するのである。

 

不傳庵での点初式は人数も少なくゆっくりとしたお席なので、いつも終わるころは日が暮れる。
薄茶がすんで障子をあけると、庭に明かりがひとつふたつと灯(とも)り格別の風情である。

 

遠州御宗家.jpg

玄関前にて

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