気がつけばもう1週間、 16日は裏千家の「初釜式」であった。
前のお席には安部総理もおいでになられた。
今年も大宗匠のお顔を拝見しご健勝のご様子に安堵する。
初けずりのお茶杓は毎年干支にちなんで銘をつけられる。
今年は午年(うまどし)。
うすれゆく記憶の中ではあるが、確か大宗匠は「白馬蘆花」という御銘の白竹のお茶杓。
当代お家元の御銘は「鉢盂裏走馬」(馬が先であったかもしれない)と思うが、煤竹(すすたけ)のお茶杓で、鹿毛の馬に黒い鬣(たてがみ)のように、茶杓の櫂先(かいさき)の方から節にかけて黒い一筋(すじ)がさしていたのが印象的であった。
また、今年のお勅題(ちょくだい)に合わせて「静」という御銘の伝来物も拝見させていただいた。
毎年お庭の前で撮っていただく。
常盤の松というが、いつまでも元気にいたいものである。
昨日の続きになるが、母はお茶を生業(なりわい)としたことがない。
もっぱらの道楽で、弟子は取らないが準教(茶名の上)である。
女学校から茶道を習っていたが、結婚し子供たちに手がかからなくなってからは自由になり、全国のお茶席をまわるようになった。また自室にてこの40年、毎朝
一人で続きお薄をしている。
そっと覗くと、「お手前頂戴いたします」「お続けいかがですか」などと言いながら、自ら飲んでいるのが身内ながら偉いと思う。
お道具は高価なものではないが季節の取り合わせをして楽しんでいる。本当の数寄者(すきしゃ)というのはこういうのを言うのだろう。