ガーデニア、クチナシの香りがする。
初夏から夏にかけて、この季節に咲く木の花はいい匂いのものが多い。
花の香りに誘われてくる蝶を待ちかねているのだろうか、ほんの1センチくらいの赤ちゃんカマキリ。
どこからともなく漂ってくる爽やかな香りはタイサンボク。
クリーミーで甘い香りはクチナシだ。
もう少し経つと、モッコクのフルーティが広がるだろう。
クチナシの香りは、強いグリーンとラクトンのアコードでできている。
固いグリーンはラクトンのミルクっぽい香りで丸くやわらげられ、逆にクリーミーなくどさはグリーンで爽やかにされている。
花の周りには香気の雲がむらになって漂っているようで、近くでも匂わないこともあれば、風に乗って遠くまで帯が伸びていて、はっとすることがある。
なぜか私はクチナシをかぐと、オブラートの匂いを思い出す。
ブンタン飴というキャラメルのようなお菓子の周りについていた、薄い透明なオブラード。
そして昔の名前で出ていますという歌のひとふしが・・・。
「いーまではゆびーわもまーわるほどー・・・クチナシの↝白い花↝、お前のような花だっ~た♪」
一重は清楚である。
ホワイトフローラルの仲間、マグノリア類と同じく古くなってくると茶色い枯れた花びらの残骸が哀れである。匂いも劣化して、渋く動物的なる。
昨年のクチナシの記事を読んでみる。
あいかわらず同じことを感じている・・・と思う。
(2009年6月17日)
・・・匂いのある花の香りは、骨格もキーノートも、どんな匂いかもわかっている。ひととおり処方もあるし作ってもいる。しかし記憶に刻んでいるつもりでも、一年ぶりに会うたび、やっぱりあらたな発見があってうれしい。
クチナシの香気成分をざっくり言うと、ラクトンとフローラルとグリーンが合わさってできている。(クリーミーなラクトン、白い花を引き立てるインドール、cis-3系グリーンにチグリン酸)
でも、その間を細かく埋める少量成分や微量成分がたくさん入って、ナチュラルになり本物に近づいていく
ちょっと桃のようなフルーティを感じる人もいるかもしれない。ジャスミンやチュベローズにも似ているところもある。
これらをはっきりと区別するのは、その成分だけでなく配合割合にもよる。念入りに調整しなくてはならない。
時々既成品に見かけるのは、名前はガーデニアでもなんかはっきりしないのもあって、作った人は「本当のクチナシをかいだ事があるのだろうか?」と思うこともある。
もちろん、忠実に再現するだけがクリエイションではない。でも基本はしっかりと押さえつつ、やはり自分で匂いを確かめて、その喜びや新鮮さを感じなければ活き活きとした香りはできない。・・・自分というフィルターを通して、形にしなければ安もののコピー商品と同じ。
➤ 学名:gardenia jasminoides ellis ガーデンさんが名付けた、ジャスミンのようは香りの花、の意味