シスト Cistus ladanifer/ココリコ KOKORICO
この10年、シアー感のある香りが続いたから、逆にシストのような重く強い香りが流行り初めているのかな。
このところ食べ物と植物の話ばかりと言われたので、たまには香料のことも書いてみる。
毎年、500からの新作香水がメジャーなブランドから出されるが、ほとんど名前とブランドを見ただけで香りをかぐ気が失せる。2000年以降、新しい香水、面白い香水がない。
シプレーの要素は下の方に持っているが、あの「ミスディオール」のようなガッツりしたシプレーは影をひそめ、全体に「軽めでシアー」が合い言葉のようだ。
その中で、興味を惹かれて香りを手にとってみたいと思う名前、たとえばゴルチェのココリコや、プラダのcuir styrax 11、トムフォードのsantalなどには、下の方にシストっぽい香調が見られる。セルジュルタンス(Serge Lutens) Boxeusesはまるまるシスト。
シストは大好きな香料だけど、とても強い香りだ。その焦げたレザーっぽいウッディー・バルサミックな香りは大人の匂いがする。クラッシックな感じが今風ではないので、最近の香水ではしばらく見かけなかった。
ココリコ。それは強いグリーンのトップから始まる。
Dynascone(ダイナスコン)や、Galbex(ガルベクス)、Galbanum(ガルバナム)、などの強いグリーンに、同じ方向性を持つ、メタリックで固いドライアンバーが合わさって、香りはさらに締まってくる。
それはTimberol(チンベロール)と同じ骨格を持つNorlimbanol(ノーリンバノール)か、女性には向かないシャープなアンバー。
ラストはvanillin(バニリン)がたくさん入って、パチュリと一緒にエンジェルっぽい甘さが下に出てくる。とても持続力がある。オリエンタルでパウダリーなラスト。
ブランドのオフィシャルなコメントではミントとカットグラス、ココアやイチヂクの葉、ベチバーやセダーウッド、ドライアンバー、バニラなどが挙げられている。
昔のメンズのように、シストを暖かく滋味あふれる香りと合わせるのでなく、ドライでシャープなところが新しい。日本の男性にはあまりお勧めしないけど。
for men
perfumer:Oliver Cresp,Annick Menard
Sept 2011
Jean Paul Gaultier,BPI,Shiseido