ここ１～2年のファインフレグランス売り上げ上位のリストをみると、 アメリカとユーロッパの香りの嗜好性の差がはっきりして面白い。
やはり、アメリカはエスティーローダーやラルフローレン、マークジェイコブスなどのアメリカブランドがたくさん入っているし、フランスはディオールやゲラン、サンローランなど老舗のフランスブランドが中心だ。シャネルはココも、mlleも、４つはいってる
2007年、2008年に発売された中でアメリカでランクインしたのは、センシュアスとデージー、エド・ハーディー 、ビバ・ラ・ジューシーこの4本。
1985年発売のビューティフルが1位で、エスティーローダーはアメリカではやっぱり強い。
アメリカ香水の特徴はトップからラストまで同じような香調が続く。インパクトもあり、微妙なニュアンスというのはあまり受けないようだ。昔のアメリカ車みたいに、派手。
ここで3位に入っている、2001年に発売されたライト・ブルーは、アメリカ以外でも、イタリアで4位、ドイツで6位など世界的に人気が高い。
オリビエ・クリスプが作ったこの香りは、トップのシトラスにトランスペアレンシーな（透明感のある）アンバーウッディが続いており、ミュゲっぽく、茶色ではない。同じアンバーでも、ベルトフィクスや、イソ Ｅ、シストなどの素材をいれると茶色くなってくるが、これはクリーンだ。
名前と、パッケージの色は水色だけど、匂いは青系かといえば疑問。匂いで青、特に紺色を出すのはとても難しい。ブルガリ・ブルーも、箱の色は青いけど、目隠しして匂いを言ってもらったらたぶん青じゃない。
☆ 香水名 ライトブルー（L'HEURE BLEUE)
☆ 発売年 2001年
☆ 香調 トランスペアレントなウッディアンバー
☆ パフューマー オリビエ クリスプ（Olivier Cresp）
☆ ブランド ドルチェ・アンド・ガッバーナ（DOLCE&GABBANA ）
一方のフランス香水はトップ、ミドル、ラストの匂い立ちの変化があり、複雑な香りが特徴と言われている。しかし、アメリカのマーケットも大きく無視できないので、最近ではアメリカ好みを意識した香調も増えている。
フランスの老舗ブランドクリスチャン・ディオールが1985年にポワゾンを出した時、アメリカ的だと感じたものだ。強いチュベローズ、オレンジフラワー系が最初から最後まで一本調子で続く。（でも、もうUSAではランク外）
1985年は最近じゃないって？確かにもう、25年も前のこと。でも、香りというのはファッションの中で保守的だ。
トップ20のうち、2007年以降に発売された香水でランクインしたのはアメリカで4つ。フランスではわずか一つしかない。
新しい香水はどんどん出てきて、次々と乗り換える人もいるにはいるが、基本的には長く一つの香りを使い続ける人が多い。
例えば、シャネルの№５は、USA4位、フランス1位で、たぶんフランスはエンジェル（Angel）に一度席を譲った以外はずっと1位だったのではないかと思う。発売されたのが1921年だから、90年間トップにいるってすごいこと。（もちろん処方の調整は毎年されているが）
他にもレールデュタン1946年、シャリマー1925年、などもランクインしているのがその証拠。洋服の世界を考えたら、同じデザインの服が何十年も売られることはないから。
小さい頃になじんだ香りを引きずって、新しいフレグランスは話題にはなるが本格的に人びとに浸透していくのには時間がかかる。においは危険を知る信号だから。
たとえば、あのマリン系も、最初はあのうりのような青臭さは違和感があった。新しいと思っていたけれどすでに20年が経過し、やっと普通になじんできたように思う。
☆USA レディース 1位から10位まで
1-ビューティフル／エスティーローダー 2-ココマドモアゼル／シャネル 3-ライト・ブルー／Ｄ＆Ｇ
4-№５／シャネル 5-カシミアミスト／ダナキャラン 6-ハッピー／クリニーク
７-プレジャーズ／エスティーローダー 8-ユーフォリア／カルバンクライン 9-センシュアス ／エスティーローダー １０－ロマンス／ラルフローレン
☆USA レディース 11位から20位まで
11-トレゾワ／ランコム 12-デイジー/マークジェイコブス 13-エンジェル／テュエリーミュグレー
14-ジューシークチュール 15-ジ・ワン/D＆G 16-エド・ハーディ ウーマン 17-チャンス/シャネル
18-ジャドール/ディオール 19-ビバ・ラ・ジューシー 20-アロマティック エリクシール/クリニーク
