パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

香水の匂い立ち④ラストノート(Last Note)

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「匂い立ち」とは、「時間が経つにつれて香りが変化すること」です。

 

トップ・ノートからつづいたミドル・ノートが終わると、残香(ざんこう)、残り香(のこりが)とも呼ばれるラストノートになります。

この部分は、蒸発の遅い(沸点の高い芳香分子)でできている香料で構成されます。

 

①アニマルノート、②ウッディノート、③モスノート、④バルサムノートなどがあげられます。

 

①アニマル・ノートというのは、もともとムスクアンバー、シベット、カストリウムといった動物から採取された香料です。今は、合成のものが主になっています。

 

②ラストのウッディノートは、サンダルウッドやシダーウッドなど、木の香りの中でも重い(保留性の高い)香料です。

 

 

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③モスは苔の香りです。オークモス(地衣類・ツノマタゴケ)やトリーモス、合成のメチルアトラレートなどです。上の写真はオークモスの香料原体です。(パルファンサトリ資料)

④ファーバルサム、ペルーバルサムやトルーバルサムなど、もったりとした甘く重い香りです。

 

 

これらの香りは長く肌の上に残って香り続けます。

 

お店で買うときはほとんどの人が第一印象で買うことが多いものです。

そのため海外ブランド香水の多くは、第一印象であるトップノートに力を入れていて、ミドルノートからラストノートを作りこんだものは少なくなっています。

大量に売らなければならないブランド香水では、セールス面からみても、トップノートは重要で、ここに目新しさやインパクトを与えています。


ラストノートに良いものを使ったり、手間ひまをかけるのは製造コストとしても非効率だからでしょう。

 

しかし、香水のよさはミドルノートからラストノートにかけてその真価があるのです。

しつこくて鼻についたり、気分が悪くなることはありませんか?
人もそうですが、長く一緒にいたい香りというのは、そういうものではないでしょうか。。。

 

 

 

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