パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

ワサンボン(和三盆)ロール Wasanbon

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スヴェニールママンの和三盆ロールと言う。
M子さんが手土産に持ってきてくれた。

「これ、とってもおいしいんです~」
話題のスイーツ情報は、もっぱらコンパウンダーのM子さんから入ってくる。


 

==== 「えー、和三盆?えー純生ー!」
L子嬢、頬を染めて喜ぶ。

 

「どうする?ケーキだから紅茶?和三盆だから緑茶?」
この墨痕黒々とした包み紙に敬意をはらい、緑茶を入れることにした。

 

生地がふわふわと柔らかく、アトリエのプチナイフでは切り口がつぶれ気味になる。

『ほほう、肌理(きめ)が細かいじゃないか・・・』

一刻も早く食べたいのをぐっとこらえ、写真を撮ろうと思ったが手元にカメラがない。
しまった。

それに、紙を剝く前にも撮っておいたらよかったが・・・。

 

「さとりさん、シャメで送りますよ」
M子さんがその場で撮って送ってくれた貴重な一枚。

ようし、これで安心して味わえるというもの。


ひとくち食べると、生地はしっとりとしてほんのり甘い。
日本の上等な砂糖、ワサンボンの優しい甘さでクリームも軽い仕上がり。

生クリームは、砂糖が足りないと乳脂肪の独特の臭みがあるものだ。

日本の甘さ控えめの洋菓子にはつねづね不満があったが、この和三盆(ワサンボン)を使ったクリームは、「ほの甘」でありながら、クリームの癖がなく食べやすい。

和三盆の力だろうか。


パリの気候ではしっかり甘いものがおいしいが、湿度の高い日本では、あっさり目がやはりうれしい。
香水と同じことが言えそうだ。

和菓子と洋菓子をつなぐ砂糖の力。
やはり現地で採れた材料が、その国の人の口に合うのかも。

 

 

 

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