すっかり葉も落としたモクレンの木を、よく見るとちいさな芽がついている。
モクレンは葉より花が先に咲くから、この芽はやがて花になるのだろう。
3月、赤紫の大きな花を咲かせる。
4か月も前のこんなときから、花は準備を始めている。
寒い冬を乗り越えるために、毛皮のコートを着て。
スズカケの木の実。
まだ青いまま落ちていた。
もっと後まで木についていれば、茶色く乾いた実がはじけて中から種子が飛び出してくる。
私たちが彼らの存在に気付くのは、花に目を引くほんの一瞬。
でも、知らないところでちゃんと「いのち」は働いている。
ゼンマイをまいて、季節時計の針が一回りする間に、
生命はつながれていくのだった。