私にとって、花はどれも魅力的だが、一般的にごくつまらないと思われるような花にも、素晴らしい香りが隠されていることがある。
こうした花の匂いについて書かれている本はとても少ない。
香料を採る植物でなければ、わざわざ香りをかいでそれを記録することはあまりされなかったのだろうと思う。
植物に興味のある人は、姿かたちを分類することはあっても香りにはあまり関心がないようでもある。
また、「いいにおい」と思っても、表現方法がわからなかったのかもしれない。
日本では街中で花の香りをかいでいる人を見かけることは少ない。
ファンタジーな人と思われたりして、恥ずかしいからかもしれない。
背の高い木の花、地面に咲いている小さな花。
鼻を近づけるのは大変だ。新宿御苑で背伸びしたり、這いつくばって花の香りをかいでいる人がいたら、それは私かもしれない。