パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

クロユリ 黒百合

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  クロユリは、変わった雰囲気ですてき。

 

 

 

花びらの色が鉄色で、蝋のようにつるっと光沢がある。

しべの形がまたかわいい。先が3つに割れためしべと、6本のおしべ。
この薄緑色が、暗紫色の花を引き立たせている。

 

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黒百合は球根植物だ。

まだ若く球根が小さい時は、黒百合の花にはおしべだけしかない。
めしべがあると、結実する。
種子ができると株が弱ってしまうから、まだ若いうちは自分は実をつけないようにしている。

おしべで、花粉だけを作って、他の花にDNAを広げる。 

初めは1本に一輪だが、やがて2輪つけるようになる。
そのころはめしべもつけるようになる。

なんとなく含蓄のある話だ。

 

6年から8年かけて、一人前の花を咲かせるようになるらしい。

 

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黒百合は、白山以北の高山に生息する。
北海道や、カムチャッカ半島にも咲いているらしい。

 

黒百合は自家受粉をしない。
ニオイでハエを呼んで、受粉は行われる。
よって、匂いはあまり好ましくないと本に書いてあった。

切り花にそっと鼻を近づけてかいでみる。
少しスパイシーな感じで、そんなに嫌なにおいでもない。

きっと、山で元気いっぱいの時はにおいも強く、クセがあるのだろう。

 

もともと高山植物だったので珍しい花だったが、今ではお花屋さんでも買えるようになった。
背の低い小さい花だ。

1本でいけてもいいし、花首の曲がり具合などを活かして数輪を合わせてもいい。

飽かず、眺めてしまう。 
味わい深い花である。

 

▶黒百合 ユリ科 バイモ属 Fritillaria camtschatcensis

 

 

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