パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

ユリノキ 百合の木の蕾(つぼみ) 新宿御苑

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つぼみ発見。今、ユリノキにはまっている。

 

 

新宿御苑の広場には、ユリノキの巨樹が3本固まってそびえている。

先週はけむるような淡い緑が、枝いっぱいに芽吹いたと思っていたら、今週になって見る見るうちに葉が開き空を覆っている。

近くに寄って見上げる。
とにかく背が高いし、一番下の枝でも手が届かない。
たのもしいわあ。


重なり合う葉と葉の形をじいっとみているうちに何か違和感があって、さらによく観察すると、「あれ?」ひときわ濃い緑のつぼみが垣間見えた。

葉に同化して初めは気がつかなかったのだ。


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首が痛くなるほど上を向いて、カメラでズズーっとズーム。
ようやくピントを合わせてつぼみを撮る。

「よしっ」とカメラの画像をチェックしたのち、ふと目をあげて周りもよく見れば、無数のつぼみがあるのがだんだん見えてきた。

大きいのも、小さいのも。
「うわっー!すごい!!」という感じだ。

 

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(茶色いのは、去年に咲いた花殻がドライになったもの。よく見ると深緑のとがった蕾が見える。)

 

ときどき、頭の上から何かが降ってくる。
葉っぱの付いた小枝、真ん中に花らしきもの。
地面や道にたくさん落ちている。

 

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カラスが上のほうの、つぼみをむしっているのだった。
ユリノキの梢にはたくさんのカラスが群がっている。

次々とやってきては、ガアーガアーと鳴きながら上のほうで騒いでいる。
梅の花メジロがついばんでいるのとはだいぶ趣がちがう・・・。

緑のつぼみの内側には、こんな蕊が隠れていて、黄色のすじが入った花弁は外国のめずらしい野菜のようにも見える

 

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ユリノキの由来は、花が百合のような形をしているから。
でも百合のように白くもないし、うつむいてもいない。

空に上向いて、むしろチューリップのように咲く。

 

大きな燭台に無数のろうそくがともる。

巨樹はそんな風にも見えてくる。

 

3本のユリノキからすこし離れたところに、同じくらいの高さのユリノキが1本ある。
葉はややまばらだけれど、大きくてこれもいい樹形だ。

しかし、木のまわりを一周、ぐるっと回って眺めてみると、あまり感心しない角度もある。

比べて、3本がひとつに合わさって植わっていることによって、密度濃く葉が茂り、隙なく樹形が整う。
「三」と云うのは調和のとれた数字だと感じる。

ユリノキの観察は飽きない。

 

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 左は1本のユリノキ、右は三本ユリノキ

 

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