パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

葡萄の香り メチルアンスラニレート

 

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 葡萄の香り メチルアンスラニレート

今ではブドウは長期間、果物屋さんでみられるようになったが、
私にとっては、やはり夏の果物というイメージが強い。

 

 

小学校の頃、夏休みになると、紫色の小さな粒のブドウが出された・・・ような記憶がある。

あれ、何という種類だったのかな?デラウェア
小さいのに、ひとつづつ種が入っていて、ぷっと出さなくてはならないので、結構食べにくかったっけ。

誰かに実だけを食べる方法を教えてもらった。
はじっこをちょっと歯で噛んで中身だけつるっと吸うと、空になった皮に、種が残る。

 

そのうち、種なしブドウが出てきて、すごく画期的だと思った。パチパチ。
大きな巨峰や緑色のマスカットは、手で剥かないといけないので、面倒だからあまり好きではない。

手が濡れるのが嫌だから、「むいてー」とか言って、剥いてもらわないと食べない。
母親はそんなに甘いタイプではないので、だれが剥いてくれたんだろ?

うーん、やはり、昔からものぐさだったんだなー。

 

大人になってから、日本食のお店で出された水菓子は感動した。
巨大なぶどうの実は、下の方を切って座りをよくし、
上に十文字に切り込みを入れ、お花のように皮をくるっと開いてあった。
中が薄みどり色で、皮の裏側は少しマットなムラサキ色。
水滴も涼しげでチョー嬉しかった。

 

今は、皮ごと食べられるのなんかもあるし、種類が飛躍的に増えて名前も覚えきれない。 

 

 

さて、メチルアンスラニレート(methylanthranilate)という香料は、ぶどうの香りがする。

むかし、一番初めにこの香料をスメリングした時、
「ファンタグレープの飲みきった後のコップに、洗わずに水を入れて飲んだら、まだぶどうの匂いが残っていた、という感じ~。」と思った。

 

ブドウからは香料は採れない。いろいろな香りを組み合わせてグレープの香りをつくる。

成分は、このメチアンと、エチルアセテート(ethyl acetate)、エチルブチレート(ethylbutyrate)などのエステル類がフルーティ感を出し、甘さを出すマルトール(maltol)やバニリン、フラネオールを入れ、、そこに、マスカットならシス3ヘキセノールなどのグリーンを多めに入たりして、10~15本くらいの処方でざっくりしたベースができる。

 

このままではただのベース香料だが、他のフローラルと合わせたりして、香水の素材にしたりする。

 

 

この香料は、フルーティだから爽やかかというと、むしろフローラルで、オリエンタルな要素が強い。オリエンタルタイプの香水にはたっぷり入っていたりする。

他にも、マンダリンやオレンジフラワー、チュベローズ、イランイランなど多くの天然物にもこの香料はみられる。

 

これが処方に入ると、経時で色が赤っぽくになっていく。
香水で、徐々に色が黄橙になるのは、この香料のほかにもインドールや、バニリンなどのせいもある。色やけは実際の使用にさほど問題があるわけではないが、見た目がよくないので、石鹸などには使いづらい。

 

昨日まで薔薇ばっかり書いてちょっと飽きた・・・かも。

 

 

 

 

 

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