パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

毎朝の一服 ハチミツ honey

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喉が痛いのは花粉のせいなのかと思う。

休日の朝、のどが痛くて目が覚めた。微熱もありうとうととしているうちに一日が過ぎた。

3月8日は「みつばちの日 」。(83日ははちみつの日だそう。)ふと思い出してひとさじのハチミツをなめなめ、毎朝の一服。

 

ハチミツの香りは、少しメタリック(金物臭い)で、アニマリック。

でも花の香りによって異なる香りがするものだ。

なかでもこのハチミツは、濃厚でダークな香りで、アンバーっぽいボディ感があった。

裏のラベルを見ると、なんの花とまでは書いていないが、原産国はパキスタンと書いてある。

 

 

小さい頃は、特に産地などのこだわりもなく、蜂蜜の味や香りと言えばひとくくり。

それは給食のパンに時々ついてきた、小さなビニールパックの薄黄色のハチミツの印象かもしれない。

袋の端をちょっと切って、たらーり食パンにつけると、手がベタベタするので、しょっぱくて汚い指と一緒になめる。

あるいは袋からチュウチュウ吸った。そんなビニールの舌触りや味も印象の中に混在している。

 

子供のうちは、その刷り込み(思い込み)で食べていたので、それほどハチミツの味の違いに気がつかなかったけれども。思うとあれはレンゲ蜂蜜だったのでは...

 

やがて世の中が豊かになるにつれ、産地や花にこだわったりブランド化して、蜂蜜はずいぶんと高価な食材に格上げされたものだと思う。いや、もともとは貴重な甘み源だったのだろうが、もっと素朴なものだった。

 

何気なく食べてきたものも、じっくり味わってみると、細かな味わいや香りが感じられるものだ。

新しいものを探すセンサーも必要だが、今ある身近なものに対して感度をあげてみれば、もっともっと普段を楽しめるものだ、と思う。

 

 

 
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