はなひらく、Hana Hiraku 、その時。パルファンサトリフレグランスストーリ-①
凍(い)てついて固くしまった地面の上を、
風は漂流し、取り付く島もない。
それは確かに死んでしまったようにみえるけれども、
涸れてしまわなければ、過ごせない季節がある。
秋に落ちた枯れ葉の、またその下の、前の前の落ち葉の積もったその下には、
ひっそりと命の根が眠っていて、
そしてもうこのまま起きられないのではという怖れと
しかしもうすぐ目覚めるに違いないという予感が、
対立してせめぎあい、拮抗(きっこう)が破れて、涙になる。
樹はまたひとつ、身震いし、そして春が来る。
はなひらく、ハナヒラク、
Ēpanouir、エパヌイール、輝く、華ひらく。
AWAKE、アウェイク、目覚める。
冬を耐え、固いつぼみの殻がはじけて白い花が咲く
なよやかな草花の上で、力強い木の花がどんどんと開いていく
朴(ホオ)の花の蕊(しべ)は、花開く意思を持つ
朴(ホオ)の木: 学名:Magnolia obovate 日本特産種
大木になると幹が直径1メートル、高さが30メートルにもなる落葉高木。朴(ホオ)の木の大きな葉に、味噌や餅を包んで焼いた朴葉みそ、朴葉餅や、皿として使うなど、日本では昔から生活に根ざした歴史があります。5月頃にクリームホワイトの20センチにもなる大きな花を枝先に咲かせ、その香りは風に乗って遠くまで届きます。