パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

ナツツバキ 娑羅樹 Stewartia pseudocamellia

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ナツツバキ、見つけた。

「今日のさんぽの目的は、目的を持たないこと。」

いつもは門をはいった分かれ道のところで、何を見に行くか考えて方角を決めるのだが、その日は目をつぶってくるくる回り止まった方向に向かって歩き始めた。

灯台もと暗しというが、新宿御苑千駄ヶ谷門をはいったすぐのところに、その白い花が咲いていた。

 

ナツツバキはそばで見るととてもきれいな花だが、うっかりすると見過ごしてしまうような地味な花だ。
コントラストが弱く、景色に溶け込んでしまうからだろうか。

冬に咲く椿の葉は艶のある濃い緑だが、ナツツバキは葉の色が黄みどり。
落葉樹だから、椿に比べて明るく軽やかな雰囲気がする。

 

こんな風に、のんびり歩いているときに見つける植物はとても多い。
走っちゃうと見えない景色がある。

人生もそんなときが必要だ。
そして小さな喜びで幸せになれる、それはコンシャスが高いから。

なんでも手に入るようなお金持ちになったら、
本当には何一つ自分のものにならないことに気づくだろう。

・・・じゃないかな?と、想像する。そんな朝だった。

 

 

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