高校生の頃からこの花が好き。毎年春になると、母は白と紺の染付の小ぶりな壺に、たくさんのアネモネを活けていた。
桃、さくら、たんぽぽ。どちらかといえば春はふんわりした黄色やピンクの花が多いようだが、そんな中でアネモネのはっきりとした色合いは新鮮だし、どことなくエキゾチックでもある。
「もう春なのだ!」
リビングにこの花を見つけると、その艶やかさに、心をぎゅっと掴まれるような気がしたものである。
「和」と「オリエンタル」は違う。この花はオリエンタル。
黒目がちの瞳の少女が、漆黒の髪を後ろで束ね、鮮やかな赤や紫のプリントの木綿の、ひだをたっぷりとった衣装を着ているような、って、思う。
別名 ハナイチゲ ボタンイチゲ ベニバナオキナグサ