パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

ハクモクレン撮りかねて、思わずたたむ赤い傘。

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今日は冷たい雨が降っている。
三寒四温」の三寒の方、こんな日の新宿御苑は人がすくない。
 
池のほとりにはだれもおらず、次々とちいさな輪が広がっては消える様子を、ひとり飽かず眺めている。
 
 
 
「するべき」「せねばならない」「やめるべき」「してはならない」
 
自分の言葉が、忙しい心に落ちるのを、この波紋が身代わりになって消してくれる。いつまでもここから去り難いのに、やがて雨は小やみになる。

 

「人ひとりでできることなんか、たかがしれてる。」

そうひとりごちて、水辺を離れ歩き始める。また、細かい雨がしっとりと降ってくる。

 

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ハクモクレンは、祈りである。
白い小鳥が、枝に羽を休め、一斉に羽ばたくのである。
 
 
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大きな木を見上げてカメラを構えれば、肩に挟んだ傘の柄が邪魔になる。
ふと横をみれば、同じように傘を持て余してる人がいる。
 
 
ハクモクレン仰いでみれば撮りかねて思わずたたむ赤い傘。」
 
 
 
 
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