パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

花は語り合うように-1

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週に一回、家にはお花の先生が来て、生徒さん(大人の人たち)が集まっていた。

生け花用の花を人数分そろえるのは母の役目であった。(お花屋さんに頼むだけ)。


小学生のころ、いつもお稽古をのぞいたりして、切り落とされた小さすぎる蕾や余分な葉や茎などの中から使えそうなものを拾って、まねごとのように飾ったりして遊んでいたのを覚えている。

切りくずは新聞紙の上に集められ、青い匂いをさせていた。

あるとき、大きな黄色いキク(仏壇に飾るような)を一本、新品のままくれるという。手にしたとき、たぶんすごくうれしかったのだと思う。母に、「本当にいいの?」を連発して数10回は聞いただろう。

あんまりしつこく何度も言うからだんだん母は怒りだして「あともう一回でも言ったらもうあげない」と言われたのに、やっぱり小さい声で「ホントニィィ?」と聞いてしまった。花は取り上げられてしまった。泣いた。


子供って、どうして怒られるってわかっているのに、怒られることをしてしまうのだろう?どこまでしたら怒られるのか試してみたいのだろうか?細かいディティールは結構覚えているのに、もう、子供の気持ちには戻れない。

高学年になるにつれ、お稽古を休んだ生徒さんがいるときはその分をもらって、勝手に活けるようになった。ちゃんと入門したのは、やはり中学の時だ。

もうとうに亡くなられた井出先生は勅使河原蒼風(てしがわらそうふう)先生の直弟子だった。くちぐせのように「花と花は語り合うように活けるのよ」と言っておられた。

花のキモチがわかるまでは、まだいかない。ただ、好きだから、そばに置きたい。。。





写真:鉄の花入れ。花材はくろゆりとマロニエ


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