パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

イケバナL子ちゃん

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アトリエの1階には、おおむね週一回、花を活ける。
小さな場所だが、全部で5か所の飾るところがある。

 

いつもの代々木のお花屋さん「草の実」さんはうちのお店にぴったりの和花(ワバナ)があるし、私の好みも理解してくれているので安心だ。

花は特にここにはこれ、と決めて買ってくるわけではなく、最初に手桶(ておけ)に活けた後、残った花材を順次花瓶に挿していく。

 

ときどきはうまく収まりきらなくて、取り合わせに苦慮することもあるが・・・。

花は徐々に咲いて散っていくので、その都度短くして一輪ざしにしたり、場所を変えてお猪口に活け直したりして、最後のつぼみまで活けきる。

もし枝物(えだもの)が前の週から持てば、それも残して活けていく。

 

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そして、普段はL子ちゃんが毎日水の入れ替えなどのお花の手入れをしてくれる。
枯れた花をとって、水切りをして、花入れにさし直す。

初めは水を入れ替えた後、そのまま活け直すのも難しいようだったが、今ではとてもかっこよくなってきた。

花の世話をしてもらって、もう2年くらいになるかなあ。
とくに活け方を教えたわけではないけれど・・・。

 

花の形の整え方は、「こうして入れたらきれいだな」って思いながら活ければ、自然にまとまってくるものだから、美的センスさえあればとくに習わなくてもちゃんとできるようになる。

 

習うより慣れろ、そのお手本のような例だ。

もともときれいなものが好きで、お花を活けるとシャメで撮ったりしていたし、「この花のこの色が好き」とか好みもしっかりある。

そういうのが、素質だと思う。

 

 

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先月、L子ちゃんは初めから活けてみた。
ちょっと時間はかかったけど、なかなかいい感じである。

 

それで、今日はお花屋さんで花を選んでくるところから頼んでみた。

「自分で活けたいな、と思うものを買ってきていいのよ」というと、
L子ちゃんは「えー、難しいなー」と言いながらも、楽しそうに菊を中心に選んできた。

 

今はちょうど花材の少ない時期だけど、うまく組み合わせることができ、
ほとんど直さないでOK。
とっても上手にできた。ハナマル。

 

昔は、華道や茶道の免許は、桐のタンスと同じ「お嫁入り道具」などと言われたものだ。

でもそんなことより、日常にさらっと取り入れるほうが何より生活を豊かにする。
これからもずっと、お家でもお花に親しんでもらいたいな。

 

特別ではない、お花のある暮らし。

 

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