蝋(ろう)の花、蝋梅(ろうばい)。
花の少ない時期に、明るい黄色が生命力を感じさせる。
蝋梅の様子が見たくて来た、1月の寒い朝。
冬の荒涼とした景色の中を歩いていると、遠目に蝋梅の木が寒そうに枝を揺らしている。
枯れたように見える灰褐色の枝には、丸い蕾がびっしりとついている。
よく見ると1つ、2つとほころび始めていた。
蝋のようなつやのある花に顔を近づけると、甘ずっぱいフルーティな香りがする。
庶民的な、元気のある香りだ。
いつも、毎年、この匂いを吸い込むと
「もう春まで、もう少し」
と心が慰められる。
この花は外で見るほうがいいなと思う。
正月明けに活けることが多いが、部屋の中では花はすぐに乾いてカサカサになってしまう。
花入れの下に落ちてしまった花を見ると、
「まだまだ冬だなあ」
とため息がでる。