・さとりと与一
「ほおー、さながらシンデレラ城といったところですかね?」「フッ。0時を過ぎると、車はカボチャに、おまえもネズミに変わっちゃうんだよ。」「エ゛?煙とともにサトリ様も、おばあさんになってしまうとか?」「それは浦島太郎だろうが」
まさか異国で自分がホームパーティを開くとは思わなかった。先日のご招待のお礼に、アパートに社長一家をお招きすることになった。まあ、向こうも期待していないだろうから、とりあえずベストを尽くすということで。なきゃないなりにあるものでやればいいの…
グラースでお世話になっている会社の社長宅はやはりカンヌにある、素晴らしいロケーションだ。今夜はディナーに呼ばれるので、午後になっておみやげのワインを買いに街に行った。
「さとり様、お支度はよろしゅうございますか」「そうね、きりがないからね、もうやっておくれ。ちょっと遠くてご苦労だけど、お願いしますよ」「へーい」