パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

ハマダイコンの花 Raphanus sativus var. raphanistroides

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それはたいてい忙しくて、それどころじゃない時に限って急に読書がしたくなって、近所の紀伊国屋書店に走ったり、アマゾンで手あたり次第に買ってしまう。

 

そんな時はあっちこっちの本を読み齧(かじ)ったりして、行儀が悪い。
わけが解らなくなったりするのは消化不良してしまうから。

混沌が秩序へ、読んだものが本当に血肉になるまでには、やっぱり数年、または数十年単位で考えないといけない。

 

 

今更乍ら心をとらえているのは谷崎潤一郎
さらに三島由紀夫丸谷才一井上ひさし・・・。と言えば、読み物の共通項はすぐにわかる「文章読本」。

読み書きをわかりやすく説いた随筆で、読んだからといってすぐ文章がうまくなるわけじゃない。
実用本と呼ぶような安っぽいものでなし、これ自体は「へえ」とか「はあ」と、感心しながら読むばかりの趣味の本。

 

「陰翳礼賛」で傾倒していた谷崎読本を最初に読んだ。三島はちょっと鼻につく。丸谷才一の読本が面白かった。井上自家製文章読本は現在読書中。

 

文中に挿入されている例文、これがすごい。名だたる文豪の文章を選んでいるから、さすがに引きこまれてしまう。

「今、自分は文章読本を読んでいる最中」

ということすら忘れて、そのたった一ページの引用文の世界に引き込まれてしまう。三島の文章読本では、川端康成の短編「夏の靴」。あっという間に馬車の横を走っている自分がいた。。


、文豪という人たちはやはりすごいなあ。全作品を何度も読まないと批評なんかおそれ多くてできないや。

 

そういった引用元の小説もまた読んでみたくなる。 森鴎外とか漱石とか、大人になって再読するとまた新鮮。

 

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でも、よくわからなくても子供のころや若いころに一度名作を読んでおくのはいいことだ。
モリモリと、栄養を詰め込んでおく。

そして、成長の過程で2度、3度、読み返して咀嚼する。

それにしても、名作本だけでも読み切れないくらいあるし、植物の名前も覚えきれないくらいたくさんある。知るほどに知る己れが無知。

おまけに9割忘れるから、まるで「ザル」で水をすくうようだ。なにがザルの穴に引っかかるかはその時の心境次第。その一粒が、砂金であればよし・・・。

実用の役には立たぬかもしれない。
読むこと自体が楽しかったらそれもいい。

 

写真はハマダイコン

ピンクの花の、親しみやすく丈夫な春の花。

花は派手だがあまり根は太らず、食用にはならない。

 

 

 

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