パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

月はおぼろに東山 KYOTO①

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京都に来ている。夕方に降った雨がやんで、今は月が出ている。ほろ酔いで帰る道、東山に浮かぶ満月。今年最大の大きさだという。
 
 
「月はおぼろに東山~」
子供の頃、日本舞踊をしていたので発表会でも踊ったことがある、祇園小唄の一節である。
そういえばここは東山。便利とは言えないが、前回の縁があって気に入ってこのあたりに宿をとっている。
 
 
 
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ホテルのお部屋に帰り、ネットできまぐれにユーミンをかけてみる。
 
やはり、旅先で懐かしい音楽を聴くものではない。「卒業写真」は、早く逝(い)った親友の一人の好きな曲だった。
 
 
 
私ももちろん大学の頃よく聴いた。松任谷由実でなく、荒井由実の時代である。京都には部活の卒業旅行で亡くなった彼女もいっしょだったし、いつも車にはユーミン山下達郎や、石川セリなんかがかかっていた。青春の思い出というのは、音楽や香りに直結している。
 
 
そして、非日常の場面ではより感情の柔らかいところが無防備になるようだ。
本当に悲しくて泣いているのか、泣きたくて泣いているのかわからない。けど、ずっと無邪気に泣くことなんかなかったから、ひとりで思い切り泣いてみるのもいいかもね(´;ω;`)ウッ...
 
 
 
ユーミンはいまでも先頭を走っている。愛の歌を紡ぐのは、年齢制限があるのだろうか。命の営みを超えて恋愛ができるのが、人間じゃないのかしら?「ダンスはうまく踊れない」し、「八月の濡れた砂」のような血潮がなくても。最後は「朝日の中でほほ笑んで」を口ずさむ。などなど。
 
 
悲しげに泣く顔が美しいのは10代まで。
年を取るほど、笑った顔でなくちゃ素敵じゃない。
 
 
 
 
 
 
 
 
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