8月というのに気分はもう、秋。こんな日はあたたかい土の手触りがほっとする。淡い紅色の班が浮いて、やさしげである。「御本立鶴茶碗」という。
オリジナルは抹茶用の茶椀なのだが、これは手のひらに入るくらいごく小ぶりに焼かれた5客セットで、うちでは番茶を飲むときに使っている。なかなか愛らしいものだ。
御本とは「御手本」の意味。17?18世紀にかけて、日本で書いた手本をもとに、朝鮮で焼いた茶碗のことをいう。特に、三代将軍家光が立鶴の下絵を描き、象嵌(ぞうがん)した茶碗を「御本立鶴茶碗」という。