新宿御苑が4に対して、明治神宮が1くらいの割合で散歩に出かける。
このところ雨が続いたりしてお休みしていてつまらない。
明日はどっちに行こうかな?
明治神宮は、内苑と外苑に分かれている。
絵画館や明治記念館、神宮球場があるのは神宮外苑。
私はいつも、原宿とは反対側の北参道から入る。
そのまままっすぐ行けば本殿に近いのだが、門からすぐ右に折れて、西参道へ大きく迂回する道が好き。
橋を渡って、宝物殿のほうへ行く。
右は宝物殿、左にはこの広々とした芝生が広がり、雑木林が遠景に見える。
広場は奥の池に向かいなだらかに傾斜している。
芝生を左手に眺めながら進むと、道は武道場のある深い林の中へとはいっていく。
くもり空がときどき切れて、一瞬、陽が顔を出す。
すると、木々の間から木漏れ日が道にまだらにさしてくる。
そして、暗かった道は光で白く紗をかけたようになる。
しばらく進んで、さらに左へと大きく折れると、鬱蒼(うっそう)とした林は唐突に終わり、道は再び開けた芝生の間を横切っていくのだった。
両側には、名もない小さい花たちが咲いている。
懐かしい、子供のころ歩いた武蔵野の、野の花のよう。
遠い、雨の気配と夏草の匂い。
すらりとした茎の先に、白い地味な花がぽつりと咲いて、風に揺れている。
それが、ここに、あっちにと群れている。
ここ明治神宮はそんな放任の雰囲気がまたいい。
(もちろん、入念に手入れされているのだけど)
新宿御苑は、きちんと花や木の名前が記してあるし、いろいろな植物を計画的に植えている感がある。
「あれを見よう」とか、「こっちに行こう」とか、わくわくしながら歩くのもいいけど、ここに来た時は、何にも考えないで歩くのが楽しい。
今来た道を振り返ると、NTTドコモのビルが見える。
私のアトリエはそのすぐ横にあるから、こんなに歩いてきたんだなっと。
はじめて見た。こんな目立つ花なのに名前も知らない。
なんだろう?
散歩ってとても新鮮。
子供のころは当たり前の道草を、大人になってからは忘れてしまった。
特にこの10年はわき目も振らず一直線で来たような気がするもの。
時間を無駄にするって、本当のところどうなのかな。
究極の合理的って、生まれてこないってことじゃないかしら?
生きるって、好きなことをすること。ただ息をすることじゃなくて。
一見無駄と思えるようなことを楽しんでできるから、人間なのかも。