今日は、朝一で新宿御苑のチャノキを撮りに行った。
ついでに、のどが渇いたので御苑内の楽羽亭という茶室でお薄茶をいただいてみた。
上はその立て出し(水屋でお茶をたてて持ってくること)のお薄。
泡が大きいなんてことは言わないで、おいしくいただく。
立礼(りゅうれい・椅子式のこと)だから気楽だし、たった一人だったからお茶室貸切状態。
エリザベスアーデンの香水「グリーンティー」など、海外でも、緑茶の香りの流行があって久しい。
しかし、それらはどちらかというとシトラス(柑橘)よりの香りであって、緑茶の爽やかな苦味に乏しいようである。
いまでこそ和食ブームで、海外でもずいぶん日本茶が飲まれるようになったが、一昔前はこの苦味が、外国の人はちょっと苦手だったようだ。
日本人にとっては、この苦味が緑茶のよさでもあるのだが、特に、抹茶はもっと苦いと敬遠された。
砂糖を入れて飲んだりしたようだ。
もっとも、コーヒーや紅茶に砂糖を入れる人もいるのだから、同じようなことだけど。
緑茶のすがすがしい香りは、青葉アルコールや青葉アルデヒドという成分からなる。
若葉をつぶしたような、シス-3-ヘキセノール(cis-3 hexnenol)、リンゴの香りのする、トランス-2-ヘキセノール (trans-2-hexen-1-ol)、ちょっとガサっとしたグリーンの匂いのするアルデヒドC-6など。
舌に残るお茶の苦味そのものは、カテキンという成分で、香り自体には寄与しない。
お茶らしい苦い香りを出すのには、シス-ジャスモン(cis-jasmon)を使う。
シスジャスモンは、ジャスミンの香りの骨格でもある。
なので、緑茶の香りと、ジャスミンの花の香りは相性がよい。
パルファンサトリの「織部」は、抹茶(薄茶)をイメージしたグリーンタイプの香水である。
ふわっと立った抹茶の泡と、ほろにがさ。
さっぱりしたグリーンだけ、苦いだけでない。
甘味と旨みのある香り。
お茶の甘味をフローラルでプラスし、ボリューム感を出すために、
天然のジャスミン・アブソリュードを入れた。
そして、スフレのような泡は、パウダリーなイリスと、
キュウリのような匂いのバイオレットリーフで立たせる。
蒸し暑くなるころに、この香りはべたべたしなくて気に入っている。