明治神宮の御苑には、パワースポットとしてにわかに有名になった清正井(きよまさのいど)がある。
こんこんと湧き出る、透き通った水を通して滑らかな玉石が見える。
井戸を覗いていると、心が入り込んで行く。
水底の石と、水面に映り込んだ緑の枝葉が重なって、
自分の立っているところが、水の中なのか空なのかわからなくなる。
実は、新宿御苑に行こうと思って朝出たら、なんと、千駄ヶ谷門が閉まっていた。
そういえば今日は月曜日。
桜の時期は月曜日もやっていたから忘れていたけど、連休の後は通常通り定休だったのだ。
それではということで、明治神宮に行くことにした。
いつも、代々木から近い北参道から入る。
背の高い木が参道の両側から覆うように空を遮っている。
清掃員の人が、長い箒で参道の落ち葉をえんえんと掃き清めていた。
ヒノキやシダーウッドのような、木の香りが漂い、すがすがしい気分だ。
お参りだけするつもりだったが、そういえば、清正の井戸はどうなったかな?
菖蒲はまだだろうか・・・。
と、明治神宮内の御苑(こちらのお庭もぎょえんというのだった)に足を延ばしてみた。
たまに新宿御苑ではなくてこっちのお庭に来る。
でも、パワースポットとテレビで紹介されてから、混んでいると思い足が遠のいていたのだ。
入口で聞くと、菖蒲はまだ1カ月先だという。
睡蓮は、今年は芽が出ているそうで養生中だと聞き安心。
中はさらにうっそうとしている。
勾配を下りていく先に池がある。
釣魚台があって、そこから対岸に見える山藤がきれい。
手前には、養生している蓮の芽が。
2年前に来た時は、春さきに芽が出た後で池が増水し、葉は水没してダメになってしまったのだった。
グレーの小ぶりのサギ、アオサギも遠くにとまっているのが見える。
数人がベンチに座っている以外、ほとんど人に合わない。
サクサク歩いて、菖蒲園の脇を通り、清正の井戸へ。
井戸の前には3人の若い女性のグループが一組、そして私の帰る頃に御夫婦が二人。
いくらパワースポットでも、ザワザワしていたら落ち着かない。
このくらい人気がないとゆっくりした気持ちになる。
巷間言われる御利益は期待しないけど、
「今日までの無事をありがとうございます」
といつもの感謝をしてきたのだった。
▶ 清正井(きよまさのいど) 明治神宮の御苑の中に都会では珍しい湧水の井戸があります。東京都の調査では水温は四季を通じて15度前後と一定していて、毎分60リットルの水量があり、昔から「清正井(きよまさのいど)」といわれ加藤清正が自ら掘ったとされています。明治神宮HP