ぽやんぽやんの木の花は、カジノキ。森の中は、太古の匂い。
土と木と湿った苔のにおい。
広葉樹林の下は、ひんやりとした空気なのに、懐かしい温かみがある。
たぶん、湿度のせい。
自然の姿はありのままで、人に媚びもしないし、居丈高にもならない。
人の目から見たグロテスクなもの、滑稽なもの。
それぞれちゃんと理屈があってその形になっている。
生きるための機能の究極が具現化したのだ。
「この木に、こんな花が咲くなんて。」
「これは、一体何の花だろう?」いつも、林の中では命の不思議さに圧倒される。
歩くたびに発見がある。
でも、名前を覚えるのは時間がかかる。
名札のある植物も、ないものも。
花の名前から検索して、パソコンで形や情報を得るのは容易だ。
でも、花の姿から名前を知るのはずっと難しい。
いっぺんには無理。
あたりまえだけど、四季は一年かけて巡ってくるのだもの。
何回もの春を経て、ちょっとづつ見つけていく。
いつも気にしていて、何かの時に偶然知る。
そうやって体験しながら積み重なったものが、知識だから。
カジノキって、赤ちゃんの生えそろわない髪の毛みたいだし、ユーモラス。
なんだったっけ~?
これに足と目玉をつけたキャラクターがいたような・・・。
クワ科コウゾ属Broussonetia papyrifera
栃餅をつくる、トチノキ。花を見るのは初めてだ。
植物分類的には関係ないけどマロニエの花のつき方にちょっぴり似ている。
とてもやわらかい葉っぱ。
さらさらしたシルクの手触りは、同じ大きい葉を持つホオノキの葉に似ている。
白い細かい花が束になって咲く、ミズキ。
ハナミズキとは違う。
地味だけど、爽やかな花。
春先、ミズキは水をたっぷり吸い上げて、枝を折ると水滴がしたたる。
だから水木、ミズキという。
ミズキ科ミズキ属 Swida controversa
いつも思う。
まったく残念なことだが、背の高い木の花はなかなか匂いを嗅ぐことができない。
柳にとびつく蛙よろしく、ピョンピョンしてみたりするのだが・・・。
※新宿御苑では、効率よく園をまわるガイドツアーもあるし、案内所では見所など教えてくれます。私は自分で見つけたいけど、忙しい方は便利です。