パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

梅の開くを数えて・・・。新宿御苑

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新宿御苑に行けば梅林に通い、梅のつぼみが開いているのを数える。

 

 

「はやく中を見たいからと言って、つぼみを無理に開いてもだめよ。」
と言われていたのに、子供の私はどうしても待ちきれなくて、はなびらをむしってしまった。がっかりした。

「わかっちゃいるのにやめられない~♪」とは、植木等はよく言ったもんだ。

 

日本人は我慢強く、忍耐を知っていた国民だ。
「畳の目一目づつ伸びてくる日差し」や、「薄皮をはぐようによくなる」とか、「ちりも積もれば山となる。」
といった表現にも表れているように、ちびっとづつ我慢を重ねて、きたるべきその日を待つ。
偉業を成す人も、ほどほどの人でも、みんな、昔は辛抱をしたものだ。

今の世の中、なんでもインスタントで簡単に手に入り、面倒なことは避けて、たいして執着もなく捨ててしまう。
それは、幸せなことなんだろうか?

待つことができない。それって、残念な感じー。

 

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なんでも自分の思いのままになると考え、傲慢になることが怖い。

「強く願えば必ず思いは叶う」というのは、大志と努力において正しいけれど、
その意味とは違う次元で、「ままならぬこと」というのは場面場面であるものだ。

いたれりつくせり親切すぎて、苦労なく、便利になるほどに、人は待つことや耐えることを不満に思うようになる。
それは、自らの成長の芽を摘んでしまうこと。

うまくいかないことの積み重ね、苛立ちに耐えながら、希望と言う春を待つ。
そこに人生の醍醐味がある・・・かな?

冬の寒いのはやっぱりいやだけど、健気に咲いている梅を見ると、そんな風に、思ってしまうのであった・・・。

 

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新宿御苑の中にある茶室では、お薄(抹茶)を戴くことができる。
この梅の木は、一番早くほころび始めている。

 

 

 

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