枯れたガマの穂が寂しい、新宿御苑の冬景色。
ガマの穂が、冬になると白い綿毛になるとはこの年になるまで知らなかった。
子供のころ、本で読んだ「いなばの白ウサギ」の話、
「ワニをだまして並べ、背中を飛び移って対岸に渡った因幡のウサギ。渡りきる前に調子に乗って、ネタバラシをしたために、怒ったワニに毛をむしられてしまう。瀕死のウサギは、通りかかったオオクニヌシノミコトに助けられ、ガマの穂を並べた上に寝かされた」
という内容だったと思う。
ワニ、というのがサメのことだと知ったのは大人になってから。
海にどうしてワニがいるのか、不思議に思わなかったのが、やっぱり子供なんだねえ。
しかし、ガマの穂って、茶色くてどう考えても痛そう。
「 この上に寝たのかな?」
これも、当時はそれほど疑問に思わなかったのだが、こうして、あらためてこの綿毛をみれば、なるほど、これならやわらかそうだ。
1月4日は風があって、 そこいらじゅうにこの綿毛が、フワフワ雪のように舞っていたの。
どうしても、飛んで漂っている綿にピントがあわなくて残念。
今日は、ほとんど散ってしまい、綿毛は池の水面に浮かんでいたり、木の根元に積っている。
とにかく寒い。
ここの池は浅いので、氷が張っている。
大きな池は、氷こそはっていないものの、オシドリが寒そうに首をすくめている。
下は、1月4日の椿の林。
落ち葉がぎっしりと重なって、寒い中にも陽だまりを作っていた。
たったひとり、360度誰もいない林の中で、「ここは私のお庭!」ごっこという妄想にふける。
同じ場所、今日は、職員の人たちが大勢で落ち葉を集めている。
こんな風に、いつもいつも手を入れているから、きれいに維持されているんだな。
かくされていた地面があらわになり、湿った土の匂いがやっぱり、春の気配。
▶ 植物事典 ガマ科 ガマ属 学名:Typha latifolia