パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

びわの花の香 新宿御苑

  110106びわ2.jpg

新宿御苑枇杷の木

 

新宿御苑には、りっぱな枇杷びわ)の木が何本もあって、ちょうど花が香っていた。毎年、同じことを書いているようだが、何回会っても新鮮だ。

 


今朝も、新宿御苑に行ってきた~。

実は、昨日新宿御苑のパスポートを買ったのだ。うれし~。
1年間何回でも入ってもいいの。

 

よく行くからずっとパスを欲しかったのだけど、

写真が必要だったり、用意していくと発売休止期間(桜の時期と紅葉の時期)だったり、フランスから帰って来てからにしよう・・・とか、タイミングが合わなくてなかなか買えなかったのであった。

 

 

110106びわ6.jpg 

枇杷の実ができるまで

 

さて昔、「びわの木は泣くから、庭に植えるのはよくない」と母が言っていたので、家にはなかったのだけれど、そんな言い伝えは本当にあるのだろうか?

 

琵琶法師のいわれからきてるのかも。未確認情報。
種が大きいので、果実を食べた後、庭の隅にちょっと植えてみたりもしたけれど、育ったことはない。

桃栗三年柿八年、枇杷は早くて十三年と言うそうだ。

 


だから、私がびわの花を見たのは大人になってからだ。
12月から1月にかけて咲く。

遠目にはとっても地味な花だけど、よーく見ると白い一重の花が房なりについて可愛いうえ、萼(がく)のところがモケモケとしていて面白い。
大きな葉も見ごたえがあるし、籠にざっくり活けてもいい。

 

 110106びわ3.jpg

枇杷の香気成分

香りもある。
甘い、粉っぽい匂いは、桜モチのクマリンとか、ヘリピンとか、アニシルアセテートみたい。

 

実の匂いとはずいぶん違う。
びわの実は、フルーティグリーンで、カントキサールの匂いがする。

 

 110106びわ4.jpg

この小さいびわの木は、とても姿がいいし、芝生に落ちた影がなんとものどかでいいなあ。


ドコモビルと一緒に。
この木は花が低い所にあるので、匂いをかぎやすい。

 

110106びわ.jpg

 

一部はもう、花は散ってしまい、茶色くなっている。
ちいさなびわの実が中心にできつつある。

 

このモケモケの毛が、だんだんと実がふくらむにつれて、密度が薄くなり、つるつるした肌にはえる短いうぶげのようになるんだなー。


実のおへそのところに、このモケモケの名残りがそう言えばあるもんね。

  

 

110106びわ5.jpg

 

枇杷の実は、5月から6月頃にかけて。
一年中ハウスものが出回っている、最近の果物事情の中でも、びわはやっぱり時期が限定されて季節感があるほうだ。

 

この写真は、去年の5月カンヌの住宅街をぶらぶらしていて撮影したもの。

中国の原産だし、日本的な果物だと思っていたので、フランスにも、びわが植栽されているとは知らなかった。

 

 

 

▶ 植物事典  バラ科 ナシ亜科 ビワ属 英名 loquat 学名 Eriobotrya japonica 

 

 

 

Copyright © PARFUM SATORI All Rights Reserved.