秋のお香の組み合わせ
野分香
野分せし 小野の草伏 荒れ果てて(のわきせしをののくさぶしあれはてて)
深山にふかき さを鹿のこゑ(みやまにふかき さをじかのこえ)
野分(のわき)とは、野の草を分けて吹くような、秋の台風のこと。
嵐が去った後、小さな野原の草は倒れて荒れ果てて、山の奥深くで鹿の鳴く声がする、
なんとも寂しい情景を歌ったものだ。
香席では、毎回季節に合った趣向を凝らし、お香を楽しむ。
いろんなルールがあるが、例えば、和歌などの意味に沿って、いくつかの香木をあてはめて、その日に出題する香を組み合わせる。
これを組香(くみこう)という。
「野分香(のわきこう)」というのは、冒頭の歌をテーマにした香組(こうぐみ)である。
香会記
下は、記録紙といって、その日の香席で、執筆という役の人が書く。
この記録紙は、一回の「お香の会」に一枚限りのものである。
すべての正解者の中で、もっとも上座(席順が高い人)がいただける記念品、賞品のようなものだ。
この日はたまたま正客(一番上座の客)だったので戴くことができた。
だいぶ昔のものだが、左には、優雅な絵と歌が描かれている。
今日は暖かいけれども強い風が吹いた。
脈絡なくおもいつくまま、お香の話をしているので、ここだけ読まれてもわかりにくいかもしれない。
自分の体験の中からかいつまんでお話しているので、前後を合わせてお読みいただければ幸いである。