パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

沈香木を包む 香包み

 

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沈香木は小さく切られ、一片づつきれいな香包みに包まれる。

先日、11月4日にも香木の詳しい説明と写真を載せたが、朱色の小ぶりの包みは六国(香の種類)のうちの真那伽。

大きさの比較のために並べてみた。

 

右上の正方形のガラス板のようなにみえるものは、雲母(うんも)でできている。
これを「銀葉(ぎんよう)」と言う。

香炉には炭と灰を入れ、この銀葉と呼ばれる板を乗せ、このうえに、香木を乗せて香りを聞く。

熱のあたりが柔らかくなり、焦げたりせずに程よく焚ける。

 

 

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一番左のような大きな香木を割って、ある程度の大きさにして程よい大きさの「畳紙(たとう)」で包み保管する。

先日、写真を乗せたように、六国揃えの大きなたとうの中には、6種類の香木のたとうが入っている。

「香」を聞くときには、これをさらに切り分けて、香炉に乗るくらいの大きさにする。


 

もっとも貴重な伽羅などは、馬尾蚊足(ばびぶんそく)といって、馬の尾か蚊の足くらいにして用いるというが、御家流ではそんなことは言わないで、たっぷりと聞く(焚く)。

とはいえ、5㎜~7mm角くらい。
それでも「たっぷり」と言われるくらい、沈香木と言うのは貴重なものである。

 

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香席で香木が焚かれるときには、小さな香包みで客の前に出される。

長方形の紙の表は、開いた時も、包んだ時も絵柄が美しく見えるように描かれている。
尾形光琳も、香包みのデザインをしているくらい、趣向を凝らすものである。

貴重な香木とお香の席を盛り上げる、衣装のようなものだ。

 

裏に返すと、左のヘリが少し出っ張っていて、そこは見えないようにさらに折りたたまれているが、香木の解答が書いてあり、答え合わせの時には、この香包みを見ながら香元(主人役・お手前をする人)が発表する。

有名な香木には、六国の種類名とは別に、もともと雅(みやび)な銘(めい・名前)が付けられている。

香席では、季節に合った歌と香組(こうぐみ)に合わせて、さらに名前をつけられる。

 

幾重にも趣向が凝らされた、一端である。

 

 

 

 

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