パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

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これは、そのへんでよく見かけるありふれた苔。苔類は四億年の歴史を持つ、あらゆる植物の祖先で、世界中に一万種類以上を数えるそうである。
 

 

 

 

苔のしっとりとして落ち着いた雰囲気は、日本人の好みに合い、昔から日本庭園、茶庭などに巧みに配されている。

庭石や露地などに、ふっくらとしたじゅうたんのように映え揃えさせるのは難しい。程よい日影と、水を切らさないようにして育てる。

 

 

香料でよく使用されるオークモスは、直訳して樫の木に生える苔と訳されるが、正確にはブナ科ナラ属のオークツリーから垂れ下がるように生えるツノマタゴケのことである。

オークモスは湿った土の暖かい匂いがする。濃い緑色をしている。最近は色と濁った複雑な香りが敬遠され、使用頻度は減っている。

トリーモスはオークモスより少し甘く感じる。こちらはよりマイナー。

モスはシプレータイプの香水の骨格である。
シプレーをどこまで広げるか、という議論はあるが、ミスディオールやカボシャールのようなはっきりとしたシプレーはもう昔風とばかりに廃れつつある。

同じくモスノートであるが、合成モスのメチルアトラレートは、天然のモスに比べて泥臭さがない。
白く曇ったような、もやもやしているようであり、一見、強烈でないようでいて、遠くまでよく届くパワーのある香りだ。

 

 

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