パチュリは本当に面白い素材だ。
単独では、ハーブをギュッと煮詰めたような強いグリーンウッディ、湿った藁(わら)の様なにおいでもある。アーシィ(土臭い)で暖かい。
シプレータイプの香水は、このパチュリに、オークモス、ベルガモットが骨格になっていて絶対に欠かせない。
隠し味的に、ごく少量でもよく効く素材だが、思い切ってたくさん入れることもできる。こんなに強い素材で、たくさん入れられる香料はめずらしい。
しかし、相性を間違えると下品になり、難しい香料でもある。
ナチュラルなローズの香水にほんの0.01%入れれば力強さが出る。
しかし入れすぎれば汚くなり、
最近の香水の流行である、透明感のある香りでは使いにくい。
匙加減はとてもセンシティブだ。
一方で、古くはミスディオール、新しい香水ではティエリーミュグレーのエンジェルや、その流れをくむロリータレンピカには、処方中15%~20%も入っている。
さらにラルフローレンのポロのように、思い切って30%まで使うこともできる。
強い素材をたくさん入れるときは、同じくらい強い香料をぶつけて、ネガティブなところを消し、よさを引き出す。
エンジェルやロリータレンピカでは、マルトールというお砂糖焦がしの匂いと、バニリン(バニラの香り)を思い切ってたくさん入れ、チョコレートの様な甘いお菓子の香りを表現している。
パチュリは昔に比べて価格が高くなったのと、香りの流行のせいで最近の香水にはあまり使われていないようだ。
特に、2年前には高騰したが、今はまた落ちついている。
学名:Pogostemon cablin