パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

パチュリ patchouli-1

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パチュリは本当に面白い素材だ。

 

 

単独では、ハーブをギュッと煮詰めたような強いグリーンウッディ、湿った藁(わら)の様なにおいでもある。アーシィ(土臭い)で暖かい。

 

シプレータイプの香水は、このパチュリに、オークモス、ベルガモットが骨格になっていて絶対に欠かせない。

隠し味的に、ごく少量でもよく効く素材だが、思い切ってたくさん入れることもできる。こんなに強い素材で、たくさん入れられる香料はめずらしい。

しかし、相性を間違えると下品になり、難しい香料でもある。 

 

ナチュラルなローズの香水にほんの0.01%入れれば力強さが出る。
しかし入れすぎれば汚くなり、 
最近の香水の流行である、透明感のある香りでは使いにくい。
匙加減はとてもセンシティブだ。

一方で、古くはミスディオール、新しい香水ではティエリーミュグレーのエンジェルや、その流れをくむロリータレンピカには、処方中15%~20%も入っている。

さらにラルフローレンのポロのように、思い切って30%まで使うこともできる。

強い素材をたくさん入れるときは、同じくらい強い香料をぶつけて、ネガティブなところを消し、よさを引き出す。

エンジェルやロリータレンピカでは、マルトールというお砂糖焦がしの匂いと、バニリン(バニラの香り)を思い切ってたくさん入れ、チョコレートの様な甘いお菓子の香りを表現している。

 

パチュリは昔に比べて価格が高くなったのと、香りの流行のせいで最近の香水にはあまり使われていないようだ。

特に、2年前には高騰したが、今はまた落ちついている。

 

 

学名:Pogostemon cablin

 

 

 

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