パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

アガサ・クリスティ リスタデール卿の謎

 

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クリスティの中で、「杉の棺」。これはいいなあ。
私の愛する作品なので、なかなか短時間では書けなくて、次の機会にしたいと思う。
 

クリスティ作品では、「リスタデール卿の謎」という短編集もお気に入り。特に、表題の小説は、子育てをほぼ終えた女性のシンデレラストーリーだ。

俗っぽい願望と言えば言えるかもしれないが、いくつになっても女性はおとぎ話が好き♡


小説は、没落した上流階級出身のヴィンセント夫人が、困窮する毎日の生活費を計算する、つましいシーンから始まる。
 
彼女の娘はお金持ちの青年からプロポーズを受けているが、今いる安アパートでは家に招待することができない。
そんな、頭を悩ませるある日、新聞の広告欄に、「上流階級の人限定で格安の家賃で邸宅を貸す(しかも料理人から執事までセットで)」という、夢のような話を見つけるのだ。

素晴らしい家は借りられたが、生活費はかかるはず。
夫人は、質素に暮らそうとしているにもかかわらず、食卓にはゴージャスな料理が並び、豪華な花々が飾られる。
 
ため息をつきながら、夫人は言う。
「クエンティン(執事の名前)、私たちはこんなぜいたくはできないのよ」
しかし、何もかも心得ている忠実な執事は
「奥様、こちらではいつもこのようにしております」
という一言ですませてしまう。
 
邸宅の持ち主の所有する広大な領地から届けられるものとして、なにもかもが魔法のように出てくるのだ。

何か裏があるぞー、というわけで、息子がいろいろと嗅ぎまわるわけなのだが・・・、
 
まあ短いし、夏の夜、静かに読むと言うのもよいのかも。

永遠の御姫様たち、ぜひどうぞ。

 

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