パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

香りを追いかけて

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香りを追いかけて

しっかりと栓を締めても、香りは少しづつ少しづつ逃げていく。

 

どんなに大切にしていても
思い出が時とともに褪せていくように。

 

 

私は手にとって蓋をあけ、ムエットの先を浸す。
吸い上げた僅かな液体から立ち上る香り。

 

例えば、初め涼しげな、やがてフローラルに、
そして最後に形成される香りのゆらぎ。

それはあたかも花芯に向かうにつれ
紅が濃くなるかのようなあやしさがある。

 

つかめそうでつかみ得ない、手を伸ばせはついっと、
一歩先に滑るがごとく離れて行ってしまうもどかしさ。

その正体をつきとめてみたくなる。
あなたのことはなにもかも。

窓から大気の中に消えてしまう前に。

  

 

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