パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

シンビジウム 蘭

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こんな大きい鉢はうちのような小じんまりしたサロンには置けない、と思っていたが、置いてしばらく経つとそれなりになじんでくるものだ。

高さは60センチほど、葉を広げると1mはあり、机の上がいっぱいに。株が大きく、黄色の花が鈴なりについてきれいだ。

 

蘭はいい匂いのする種類がたくさんある。カトレアも薫る。

園芸品種の宿命というか、やはり見た目が優先するので、花の香りは品種改良において常にニの次にされる傾向がある。蘭もしかり。今まで見た胡蝶蘭には香りはなかった。このシンビジウムもにおいはない。(正確にはないことはないが、芳香があるとは言い難い)

 

芳香種の蘭には、ジメチルハイドロキノンという覚醒効果のある香気成分がある。前も説明したがメチルナフチルケトンをもう少し軽くフローラルにしたような感じ。

いまや香料は、匂いのよさだけでなく、物質としての機能を期待して化粧品に配合されている。広告戦略として無香料が良いことのように言う商品がある一方で、香料のアロマ効果をもてはやしたりと、矛盾も起きている。

ムードではなく正しい情報を伝えて、きちんと評価してもらいたいものだ。

 

蘭の花の形は独創的で面白い。あでやかだが、美しさに妖しさを含む。陰陽でいえば陰だし、東洋趣味。西洋バラの傲慢な美や、鈴蘭の可憐なはにかみ、などとはまた違う魅力だが、いずれにしてもきれいなものに目移りし、惑わされるのは楽しいものである。

 

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▶ 花事典 シンビジウム ラン科 シュンラン属  学名:Cymbidium sp 

 

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