パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

ギンモクセイ・キンモクセイ・オスマンタス

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ギンモクセイ・キンモクセイオスマンタス

 

代々木の近く、ある会社の前の植え込みに、金木犀と並んで、銀木犀が咲いている。
金銀なんて、縁起がいい。

 

金木犀(きんもくせい)は中国原産の植物で、中華料理店では、「桂花陳酒」や「桂花茶」を出すところもある。

酒や茶に花をつけこんだり混ぜたりしたものだが、あの甘くフルーティな花の香りをイメージした私は、予想外の匂いにちょっとがっかりした。

金木犀の香りは、昔はよく、トイレの芳香剤に使われたものだ。尿臭をマスキング(覆い隠す)のに非常に適していたためと思われる。

そのため、トイレの匂いのイメージがついたのは、キンモクセイにとって不名誉なことだった。親しみやすく、子供からお年寄りまで嗜好性が高く、とても良い香りなのに。

1990年くらいを境に減り始め、その後、芳香剤の地位はラベンダーにとってかわられた。または「レモン」とは名ばかりの、キンキンと安っぽいケミカルの芳香剤とか。

いまはトイレも清潔になり、「便所」から快適な「パウダールーム」になった。芳香剤の役割も、悪臭消しから香りを楽しむような変化が見られ、多様性がある。

 

トイレのお話はさておいて、学生の頃にはやった「イブ」というガムはキンモクセイの香りがして、噛んでいるとまわりにこの花の香りがしたものだ。

 

香料の世界では、「オスマンタス/osmanthus」と呼ぶ。こちらの方が音がロマンチックな音で、私は好き。

 

花はもちろんいい匂いがするが、花の咲く直前の枝葉も、手折るといい匂いがするらしい。

きっと、力をためているのだろう、咲いてしまうともう匂わないそうだ。

今年こそはと思いながら、いつも花が咲いてから気がつくのでまだ検証していない。

 

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これは、9月の終わりの南仏、サンポール・ド・バンスにて撮影したギンモクセイ。
中国から昔々渡って来たのだろうか、遠くヨーロッパでも咲いていた。

なんとなくパラパラとした花は、見過ごされてしまいそうなくらい地味だが愛らしい。

 

▶植物事典  モクセイ科 モクセイ属  学名:Osmanthus fragrans Lour. var

 

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