代々木のアトリエから総武線で28分、平井駅からすぐのところに、素敵なカフェがある。
可否本舗、儚夢亭。一歩入ったら、レトロでセピアな空間が広がる。とにかく古い立派な木のカウンターと、真ん中にある階段にまいっちゃうのだ。 2階もあって、ゆったり。
あちこちにある柱時計はすべて日本のアンティーク。下写真右は、上の文字盤も下の振り子ケースも丸で、だるまと呼ばれるもっとも古い形の時計。
電気の笠も、そのほか調度品もすべて日本の古いもので揃えている。先代のご主人が集めたガラス細工やたくさんのアンティークに囲まれたお店の中は、大正時代にタイムスリップしたかのような気分にさせる。
アンティーク風の新しいものを置いただけではこうはいかない。長い時間をかけて、オーナーの趣味と審美眼によって選んだものからこそ、全体が調和しているのだと思う。
ここにいると、同じ時計ががゆっくりと進んでいくような気にさせられる。昔は、こんな風に時が流れたのだろう。
こういう場所の空気=「空間の気」が体にじわじわっとしみこんでいくような感じが好きなんだよね。
ステンドグラスの天窓。外観から見える屋根の上のドマーニの部分を下からのぞく。ヨーロッパのものとはやはりなんとなく雰囲気が違い、このお店にとても合っている。
ジャズの演奏会や、絵、写真の展示、つい先日亡くなられた、平井出身の講談師 田辺一鶴さんの講談なども開かれたり、イベントも多い。地元密着の、みんなに愛されているお店だ。近くに来たら、ちょっと覗いてみたい場所。