パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

花に囲まれて寝ること on the flower_bed

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異国の地では外では知らず緊張しているものなので、いつも部屋に帰ってくるとどっと疲れが出てベッドに倒れこむ。洗い立ての香りに顔をうずめ、しばしうっとりとするのである。
 
 
ホテルではたいがいシーツは真っ白だけれども、パリのアパルトマンでは柄ものや色のきれいなベッドリネンが使われていることが多い。ピシっと糊がきいてるというより、家にいるようなふんわりとした肌触りが心地よい。
小花プリントでも田舎っぽくならずに取り合わせていて、くつろげる空間である。
 
 
しかし毎年フランスにいってても、そのころはまだ、花柄のものを自室に持ち込もうという気持ちは皆無だった。
 
 
 
20170921パリのアパルトマン.jpg
 
 
ピカソの「青の時代」ではないが、人生の中で「マイブーム」という、嗜好が移り変わっていく期間があると思う。
 
年の離れた兄二人の後で生まれた末娘だったため、小さいころに着せられる服はピンクばっかり。その反動でか、思春期はモノトーンの服が多かった。その後少しエスニックなものや赤い服も着たが、この20年ほどは白、ベージュ、ブラウンのブーム。
 
服だけでなく、ベットカバーやインテリアもシックな色合いがいいと思っていた。それが今年、急に明るい華やかなものに惹かれるようになってしまったのである。
 
 
なんだろう?昨年、オランダに行き始めてから、こころのなかで何かが育っていたのかな?球根植物のようなものが。
 
 
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さすがに今更、花柄の服を着る気持ちにはなれないが「ベッドまわりくらいは楽しいものでもいいんじゃないかな」と思ってアムステルダムで買ったのがこのお派手目な花のプリント。
 
上掛け布団のカバーと、ピローケース、シーツのセットである。
 
 
最終日のディナーの前に突然思いついて、身づくろいもそこそこに、シーツを買いに街に出るというのも妙なものであるが。
 
アムステルダム美術館前の通りは、カトラリーやインテリアショップが並んでいるので、中をのぞきながら「ベッドリネン類を扱っているお店はこのへんにないですか?」とお店の人に尋ねあるく。
 
何軒か目で親切に教えてくれた先が、ステデライク美術館からワンブロック隣にあるリネン類専門店。
 
お値段は安すぎず高すぎず、普段ジャブジャブ洗って使うには気楽でよい。種類が多く、どれにするか目移りしてしまう。
 
 
しかし「もう待ち合わせまで20分しかない!!」という中で、思い切り目立つ花柄を急いで購入。レジに並んで、『カッコいいお兄さんだけど、早くお会計して(;´・ω・)』と心の中で唱える。
 
 
包みを抱え、店を出てなんとなくウキウキ。ブランドの靴やバッグじゃなくて、こういうもので嬉しくなる自分がいじらしい。
 
 
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日本に帰ってきて、ベッドを整えると、部屋の中がぱっと明るくなった。それまでの砂色の世界にオアシスが出現したような・・・まさに人生も変わったような気分である。
 
夜になって寝るとき「まるでお花畑にいるみたい✧♡」などと少女趣味的な気分で眠りに入ったのである。
 
 
オランダにはいい思い出ばかり。ローテーションでこのシーツになるとアムステルダムのことを思い出す。
 
今年はアトリエ用の白いリネンのカーテンもたくさん買ったので、スーツケースはいっぱい。そのためこの1セットしか買えなかったけど、「来年は色々買いたい」と思っている。
 
 
 
 
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