パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

トリュフ卵 Oeuf a la coque

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キノコに代表される菌類の、少し乾いて湿った不思議な匂いは私の好きな香りだ。マシュルームノートという。懐かしさと温かさがある。香水の隠し味にもよく使う。

 

殻の中に、黒いトロッとしたクリームがいっぱいに入っていて、エッグスタンドにちょこっと乗っている。トリュフと卵黄を合わせたものである。お皿の周りには薄く焼いた細長いトーストが並んでいる。いつも、「トリュフ卵」と呼んでいたのだが、正式名を改めて聞いたら「Oeuf a la coque peurre de truffes」と言うそうだ。

 
このトリュフ卵は、初めて食べたとき以来すっかり気に入ってしまい、お店が以前パストラルという名前だったころから毎月一回、ここ「レペトワ」に食べに来る。
旬はもちろんあるのだろうが、とりあえず必ず前菜はこれ。とてもおいしい時と、塩気をきつく感じる時がある。香りが濃いと、塩味の強さを感じない。今回はとてもよかった。常にはメニューには載っていないので2日前にお願いしておく。
はじめはトーストを卵に直接つける。中身が減ってくるとパンが届かなくなるので、スプーンですくってトーストに乗せて食べる。カリカリした歯触り。トリュフの香りは卵の濃密さによって、よりふくらむ感じがする。

 
しかし一口目を味わった後は、いつも一気に食べてしまうのだ。メインよりこれが好き。
前菜にしてはコクがあるので、ワインは初めから赤でもいいと思う。そのときどきで違うが、今回は何がよいか選んでもらったら、シャンパンを薦められた。
いつもなら、名前は右から左に忘れてしまうのだが、ちゃんとメモしてきた。アルローは日本ではあまり有名なブランドではないらしい。
 
「アルロー/ ブリュット グランド キュヴェ](Arloaux Brut Grande Guvee)プリミエ・クリュ(Premier Cleu)ジュゲムジュゲムゴコウノスリキレカイジャリスイギョ
普通のシャンパンよりどっしりした感じで濃厚な卵にも負けず、あいの手にキレがよい。
 
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