フランスの伝統的菓子クレープシュゼットは、いまでは古典的なデザートだ。
うん十年前に初めてこのパフォーマンスを、とあるレストランで見ておフランスを感じたものだ。
実はこのデザート、フレンチのコース後に食べるのは少しヘビー。最近は軽く都会的なスイーツもたくさんあり、この手のどっしり系はコンサバであまり見かけない。
しかし母はアラエイ(約80)にしてお姫様なので、こういった華やかな気分が好きで、ここレペトワへ来ると、必ずこの「クレープ・シュゼット」をオーダーする。メニューにはない。
この日は長く勤めていた方が他へ行かれると聞いたので、記念に写真を撮る。一番長く、多く作って戴いた方だ。やはり手際がよく、お上手。
カメラがないのでシャメで撮る。カシャカシャ音がするので、母からは『はしたない』 とばかりに冷眼を浴びる。
まあまあ、今日は特別。
グランマニエ、キリッシュ、コワントロー、ブランデーといった洋酒の並んだワゴンが席の横に運ばれてくる。
オレンジの皮をくるくると剥く。
銅のクレープパンにお砂糖を振り入れて焦がし、カラメルを作り、バターを溶かし、しぼったオレンジのジュースを注いで煮詰める。たたんだクレープをソースの中に入れる。
クライマックスは部屋を暗くして、オレンジの皮をリボンのように垂らしてブランデーを注ぐ。
炎とともに、甘い香りが立ち上る。うちの姫はこの瞬間が大好き。
周りのお客様からも拍手。
(いつも見ているはずなのに、いざどうやって作ったかと書こうと思うとはなはだあやしい。)