パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

私の調香オルガン台 My Perfume Organ ①

パルファンサトリの調香オルガン台

私の調香オルガン台 My Perfume Organ ①

 
香料がまるで鍵盤のように並ぶ、これを調香オルガン台という。
 
私が作った、私のオルガン台。
2001年のことである。
 
アトリエに来た人は、みなこのオルガン自体が私の手作りだと聞くとびっくりする。
まるで、もともとこういうものが存在したかのように思っているらしい。
 
頭の中で調香オルガン台の姿を思い描いて、それをデッサンして、図面に起こして、カットされた木を組み立てて・・・。
そうやってできたものである。
 
 
 
香料が並ぶ調香オルガン台2001年
 
原料の香料を、調合しやすいように並べたものをオルガン台と呼ぶ。
香りにはしばしば、音楽用語が使われることが多い。
 
これら調合作業に使われる台が「調香オルガン台」と呼ばれるのも、香料瓶がまるでオルガンの鍵盤(キー)のように並んでいるからだという。
 
1988年に、私が香りの仕事を始めた当時は、日本でまだハーブやアロマセラピーですら黎明期。
 
香水はデパートの棚に陳列されているボトルを買ってくるもの、一般には調香師の存在もほとんど知られていなかった。
 
ましてやその香水の中に100にもあまる成分が入っているとは、ごくわずかの人しか知らなかっただろう。
 
 
 
パルファンサトリの調香オルガン台
 
当時(おそらく今でも)、香料会社においてあるオルガン台というと、白い(そのほうが明るくて見やすい)合成樹脂でできた階段状の、ほぼ直線でできたひな壇の上に、褐色の資料瓶(そのほうが遮光性がある)が並び、まるで理科の実験室のような(まさしくラボだから)、ものであった。
 
鑑賞用のものではなく、実用的なものであるから、それは仕方がない。
しかし、私はあるプレゼンテーションのために、もう少し雰囲気のある、そして鑑賞に堪えるオルガン台が必要となった。
 
 
 

自作の調香オルガン台とパフューマー大沢さとり

私のイメージは、アールヌーボー
エレガントな曲線で作られたアンティーク風のオルガン台である。
 
始めてみる人は驚き、香料関係の人は讃嘆する。
これは、15年間ずっと私のブランドの象徴として活躍してきた。
 
なぜ、自分で調香オルガン台を作ろうと思ったかは、とても長い話になるので後日にするとして、どうやって作ったかを、次回以降、思い出して書いてみたい。
 

 
 

 

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