パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

マシュルームノート 菌類の香り mushroom

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キノコやカビといった、菌糸類の香りは懐かしく、後ろめたいような気分にさせる。

ここに苔や羊歯(しだ)も含めて、このにおいの思い出は、どことなく幼い秘密を含んでいる。


 

==== 花や果実の明るい香りは誰でも好き・・・、そして好きだと堂々と言える。
でも人の心の中には隠れ家が必要で、明るさだけ追いかけても、疲れてしまうものだ。

本当はこっそり蓋を開けてかいでみたい、ちょっとヘンなにおいに安らいだりする。

 

菌類といっても、バイ菌や腐敗菌などの発する不快臭ではない。
善玉菌(人間にとっての?)のこと。

 


たとえば・・・。

まったくの日蔭というわけではく、木漏れ日の落ちる少し薄暗い林の中。
濡れた落ち葉を踏むと立ちのぼってくる、湿った土と緑の葉の混ざったにおい。
腐葉土の中のバクテリアの活動を感じるよね。

 

 

白い生のマシュルームは、まださほど古くないが乾いた材木を折って裂いた時、パフっと立ちあがってくる白い粉の匂いがする。
湿っているのにカサカサした、胞子(ほうし)っぽさというのかな?

ブルーチーズは、鋭角なグリーンと西洋ワサビのような辛さを持つにおい。

苦味のある納豆のにおい。納豆菌の活性化。

 

 

菌類のにおいはいろいろあるが共通して言えること、それは強さと持続と量が、快、不快を決定する。

ほんの一瞬、そのにおいが通り過ぎる、その後ろ姿を追う。
それでいい。

探し物をしていて偶然見つけた、色あせた古い写真のような。

かくれんぼをしているうちに押し入れで眠ってしまった、暖かいふとんのひなたくささ。

 

なにか、大切なものが蘇るでしょ?

 

 

 

 

 

 

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