パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

鳩居堂(きゅうきょどう) 立葵の便箋 Kyukyodo

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ステーショナリー好きとしては、銀座に行けば必ず立ち寄るお店、鳩居堂(きゅうきょどう)。

和の文具と香のお店である。

銀座四丁目の交差点近く、いつも品の良い年配のお客様でにぎわっている。
・・・かくいう私も、品がよいかは別として、年配の客にはいるであろうな。

 

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初夏は「藤」や「おもだか」、これから秋は「もみじ賀」や「銀杏」などをよく使う。

だいたい1通にたいして便箋を2枚くらいあてるのだが、
書き損じがあるので、便箋か封筒のどちらかが必ず足りなくなり、また買い足すことになる。

両方の柄があっているところが素敵だから、便箋だけ残ったからと言って白い封筒では野暮ったいものである。

そして
「こういうものは、時期が過ぎると使えないから、急いで使わないと・・・」
などと思っているうちに次の季節に移ってしまう。

この、「時期が過ぎたら使えない」ところがまた粋なのだ。
着物の模様もそう。
年中着ることができる柄は便利ではあるが、洒落心が足りない。

日本のよさでもある。

 

しかし鳩居堂ではずっと廃版にならず、一年を通じてこれらの柄をそろえているので、ちゃんと翌年でも使えるから安心だ。

 

 

 

 

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一応、何にでも使える「鳳凰」というセットも用意している。

絵柄の大きな便箋は、目上の方にはややカジュアルな気がするが、
この白地に白の絵柄は品格があって、季節や、弔事・吉事を問わないで使えると思う。

 

紙は匂いをよく吸うので、文箱には香水をしみ込ませたムエット(匂い紙)などを入れておくと移り香がしてよいものである。

電子メールに代わられて、手紙はいまや古典的かもしれないが、だからこそちょっとした工夫でさらに心に残るお便りとなる。

匂いだけは、デジタルでは送れないから・・・。

 

立ち葵は夏の季語。

原産地はトルコ、ヨーロッパから中国を経て渡ったと言われるからずいぶん遠くから来たものだ。

万葉集にも出てくるほどだから、古くからあるのだろう。

 

 

 

アオイ科 ビロードアオイ属  学名:Althaea rosea

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