パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

ライチ・レイシ(茘枝)Lychee

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中国の生のライチは種が小さく、果肉が多い。

香りが強く甘みも濃い。
固いうろこのような外皮を向くと、白いむっちりとした実が出てくる。

 

昔、日本で出はじめの頃食べていたライチは別品種のもので、生なのに缶詰のように触感がぶにぶにして、水気の少ないブドウのよう。種も大きくて、食べるところが少なかった。
 
その後、まだ輸入されていなかった中国産(杭州)のライチをおみやげでもらったところ、種が小さく果肉がたっぷり、とてもジューシーなことに感動。
 
ライチのベースを作りたい。。。そう思ったものである。
 
 
 
フルーツの香りを作るのにはまっていた時期があった。
マンゴー、巨峰、マスカット、白桃、洋ナシ、バナナ、そしてライチ、などなど。
その感じをつかむまでは、連日その果物を食べ続けなければならない。

 

果物の香りはおおよその芳香成分が分かっているし、よく食べて知っているつもりで簡単に作れそうだが、やっぱり活き活きとした香りを作るためには、資料に頼っていてはダメ~と思う。
 
口に入れて飲み込むまでの短い時間に、鼻から抜ける香りを味わう。
旬の短いものは、その季節に作れなければ翌年まで待ってまた調整したりする。
 
こうしてできたフルーツの香りは、さらに何かを加えて異なるニュアンスをつけたり、ほかの香りと組み合わせたりする。
 
ライチはその後、「合歓」のトップに使われた。
 
 
 
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対象物を理解するのには、デッサンが一番いいと思う。
じっと見て、見えているままを描く。
 
例えばありふれたティーカップなんかでも、「取っ手はここについていると思っていたのに、実はこうなっていたのか!」と新たに発見することが多いからだ。
 
思い込みが間違っていることに気が付き、だんだん対象が自分のものになってくる感じがある。
オリジナルの香りを繰り返し試すことは、デッサンのそれに近いものがある。
 
 


 
あるとき、みんなでおやつのライチを食べながら
「ライチの香りは、ローズの香り成分ゲラニオールと重なるでしょ。」
と言うのを受けて、お菓子の仕事をする生徒の一人が
「ローズのチョコレートに、ライチをちょっと入れたら合いそうですね」と言う。
 
新しい体験は、開発を刺激する。
イデアで終わらせないで、ぜひ試してもらいたいと思う。
 
 
 
ライチ:ムクロジ科の常緑高木の果樹
 
 
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