パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

京ろうそく なかむら 体験教室-4 絵付け Kyoto ⑥Candle

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京ろうそく体験教室、「色かけ」に続き「絵付け」。

さっき自分で赤い色をつけたロウソクに、上から絵を描いていく。

目の前では若い女性の職人さんが、白いロウソクの中央に金色の菊のご紋章を描いている。1輪が16枚の菊のはなびらを、型紙もなしで大きさも形も正確に描いていくのにびっくり。



「お道具を使って、好きなように描いて下さいね」と、絵付けの手順を教えて頂く。

右のパレットに絵の具を溶かし、定着剤を1滴いれて調色する。塗ったばかりの絵の具がこすれないように、スポンジの上にロウソクの上のほうを立てかけて、細筆で描く。


『何の絵柄にしようかな・・・♪』見本帖の柄を見ながら悩みに悩む。

さっき色かけで失敗した、ロウソクの表面にあるコブの部分をどうするか・・・。『隠すよりもこれを活かした絵が描けたらいいんだけどなあ』と、手にとってじっくりとその凹凸をながめる。


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『お花だけの柄も素敵だけど、このデコボコを樹(き)の幹に見立てて、立体的にしてみようかしら。そういえば、けさ、"哲学の道"で見た梅の古木が素敵だったなあ・・』

『下地が赤だから、白梅がいいかな・・・。サクラと梅は、枝ぶりがちがうんだよね。。どんなだったっけ。』胸のうちでひとりごちる。

絵の具の濃度が難しい。地色の赤が透けて見えるので、梅の木のくろぐろとした樹皮を出すために何度か塗り重ねる。

『コブの上には苔(こけ)の生えている様子を描いて・・・。緑色がうまく乗らないから、ゴールドを下に塗ってみよう。』


慎重に、ちょっぴりずつ描き進めているうちに、いつしか夢中になる。部屋の中はとても静かで・・・。戸外の遠くから子供の遊ぶ声がときおり聞こえたりして・・・。



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かなり時間がかかってしまったけど、ようやく1本の絵ができた。さっき色をかけそびれて、ちょっぴり白く残ってしまったところにはシルバーを塗って、『月光のイメージ』とかなんとか。



『もう一本は藤(ふじ)のゴツゴツした幹が絡んで、うねるように横にはわせ、長い花房を垂らしてみよう・・・』


文章だけで写真を見なければ、どれだけすばらしい絵が描けたかって印象だけど(汗)


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ほら、この部分が失敗してコブになったところ。ドンマイ、ドンマイ。
薄いふじ紫は、赤の上では沈んでしまうので、先に白を塗ってから、上に紫をのせてみた。



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ようやく完成!こ、これは、もったいなくて火をつけられない。

左が藤の花。右が白梅の木。よく見ると、っていうか、よく見なくてもヘタっぴいだけど、久しぶりに新しいことにチャレンジして、とても充実した時間が持てたことが嬉しい。

私は絵付けにすごく時間がかかったので、レクチャーから完成まで、全部で3時間くらいかかってしまったけど、手の速い人なら半分くらいの時間でできると思う。



東京に帰ってきてから、和ろうそく作りが私にとってどんなにすばらしい体験だったかを会うひとごとに話している。

製作現場にいれて戴き、お仕事の手を止めてていねいに指導してくださったことを、とても感謝している。

「京蝋燭なかむら」の皆様、笑顔で温かく接して下さいまして、本当にどうもありがとうございました。

















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